10-3 暗号化技術

情報セキュリティにおける脅威

 昨今の情報システムでは、コンピュータ同士がネットワークで接続され、データをやり取りしながら処理を進めることがh上に多くなっています。このような環境下では、コンピュータやデータは

 盗聴 ・・・・・ 通信内容が漏洩してしまうこと
 なりすまし ・・ 悪意の第三者が正当な利用者を偽ること
 改ざん ・・・・ 通信内容が書き換えられてしますこと

といったさまざま脅威にさらされます。そのような危険(リスク)を防ぐ、あるいは検知することがセキュリティの第一歩です。

 

暗号化の基礎

 暗号化とは、第三者に不正に機密データを見られるのを防ぐために、データを解読できないように変換することです。一方、暗号化されたデータをもとに戻すことを復号と言います。

 元のデータのことを平文(へいぶん、ひらぶん)、暗号化されたデータのことを暗号文といいます。暗号化により、第三者が不正にデータを入試しても内容を読み取れないようになるので、盗聴への対策となります。暗号処理は、

 ・暗号化アルゴリズム ・・ 暗号化の手順、規則
 ・鍵(Key:キー) ・・・・ 各手順において用いる具体的な情報

という二つの要素で成立しています。

暗号化アルゴリズムは、大きく分けて共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式に分けられます。

 

共通鍵暗号方式

共通鍵暗号方式は、暗号化と復号に同じ鍵(共通鍵)を用いる方式です。

鍵を通信相手に安全に届けるために、鍵自体を暗号化して送信、配送が難しい。そして、通信相手が多くなればなるほど鍵の管理が困難。

鍵数 = N*(N-1)/2
共通鍵暗号方式 ・DES 2⁵⁶パターン
        ・AES 2²⁵⁶パターン ⇒ 盗聴リスクが少ない

 

公開鍵暗号方式

公開鍵暗号方式は、暗号化と復号に2個1組の鍵を用います。公開鍵と秘密鍵で一組となるペア鍵を使い、暗号化と復号を行う暗号方式です。

送信者が受信者の公開鍵を入手して、その公開鍵を使って平文を暗号化して送信する。受信者は、暗号文を自分だけが持つ(受信者)秘密鍵で復号する。
 公開鍵暗号方式 鍵個数 2*N
 公開鍵暗号方式は共通鍵暗号方式より、鍵の管理が容易。
 代表的な暗号方式は 
  ・RSA 桁数が大きな合成数の分解計算が困難である。
  ・楕円曲線暗号 楕円曲線の演算
  ・エルガマル暗号 離散対数

 

ハイブリッド暗号方式

ハイブリッド暗号方式は、共通鍵暗号方式と公開鍵暗号方式の長所を組み合わせた方式で、セッション鍵方式とも呼ばれます、主のな手順は次の通りです。

  1. 送信側が通信に先立ち「使い捨て」のセッション鍵(共通鍵)を作成
  2. 作成したセッション鍵でデータを暗号化 ←ここで共通鍵暗号が使われる!
  3. セッション鍵を公開鍵で暗号化 ←ここで公開鍵暗号が使われる!
  4. 手順2、3で作成した暗号文を結合

 

暗号の危殆化

 暗号アルゴリズムの危殆化(きたいか)とは、コンピュータの処理能力の向上や暗号解析手法の進化によって、暗号の解読が現実的になり、暗号アルゴリズムの安全性が低下することです。

 この場合、第三者によるなりすましや暗号通信の盗聴が可能になるなど、セキュリティレベルが低下していると考えられるため、既存の証明書を速やかに失効し、 新しい証明書に更新する必要があります。