6-2 情報素子

 プロセッサや主記憶装置は、IC(集積回路)で構成されている。ここでは、ICの分類を取り上げる。

半導体素子

コンピュータのCPUや主記憶装置は、半導体と呼ばれる金属材料で作られている。
回路で構成されており、一つひとつの単位を素子と呼ぶ。これらの素子は、トランジスタやダイオード、コンデンサなどで構成される。

集積回路(IC)

ICとは、「Integrated Circuit」を略した言葉。複数の素子を1つに集積させたものがIC。たとえば、トランジスタを複数組み合わせて構成したり、トランジスタとダイオードなどを多数組み合わせて構成したりしたものが、ICである。
1チップにどれだけ素子が集積しているかを集積度と呼ぶ。集積度によって、LSI(集積度数万)やVLSI(集積度10万以上)という名称を用いる。

トランジスタは電流の制御に使う素子で、バイポーラトランジスタMOSトランジスタに分けられる。

集積回路は、素子として扱うトランジスタの型によって、バイポーラ型CMOS型に分けられる。また、それらを組み合わせたBiCMOS型もある。

集積回路の型特徴
バイポーラ型素子にバイポーラトランジスタを使う
CMOS型素子にMOSトランジスタを使う
BiCMOS型バイポーラ型とCMOS型を併用して高速化・高集積化を図る
集積回路の型バイポーラ型CMOS型
動作速度速い遅い
電流出力大きい小さい
集積度低い高い
消費電力大きい小さい
電源ノイズへの耐性弱い強い
静電気への耐性強い弱い
製造コスト高い低い

バイポーラ型集積回路の代表

名称動作速度集積度
ECL
TTL
IL

その他IC関連技術

IC関連の技術は、「より小さく、より高性能に、より扱いやすく」を目指して、日々進歩を続けている。

現在よく使われている技術や設計思想を表す言葉としては、以下のものがある。

・ASIC(Application Specific Integrated Circuit)

利用者の要求に合わせ、専用にカスタマイズされたIC。製造後、内容を変えられない。

・FPGA

出荷後にユーザが内容を再構成できるカスタマイズ可能なICチップ。

SoC(System On a Chip)

1つの半導体チップ上に、コンピュータに必要とされる要素(プロセッサやメモリ)をまとめてに配置して、部品化する技術。1つの半導体チップに小さなコンピュータを実現する。

・SiP(System In a Package)

様々なチップを寄せ集め、1つの基盤に埋め込む技術。