12-5 その他の開発環境

知的財産権の管理

 開発側は、知的財産権についても適切に管理していかなければなりません。開発したソフトウェアは知的財産管理の対象となるので、権利を申請・登録しておく、開発中のセキュリティ管理を厳重にするなどの措置が必要になります。

特許戦略】

 特許戦略とは、自社の特許を経営戦略と連動させ、ビジネスの成長や競争優位の確立、収益化などを目的として、特許を戦略的に活用する計画を立てることです。単に特許を保護するだけでなく、他社の模倣を防いだり、他社にライセンス提供して収益源としたり、M&Aや資金調達における企業価値の評価指標として活用したりします。

 ・クロスライセンス
 複数の企業や組織がそれぞれ保有する特許権などの知的財産権を相互に利用できるようにする契約です。これにより、特許侵害のリスクを低減し、自社が保有しない技術を相手から利用できるほか、ライセンス料を支払わずに相手の技術を使える、あるいは収益を得られるといったメリットがあります。特許侵害の回避、技術の共同開発、製品開発の効率化などを目的として活用されます。

 ・サプライセンス
 ある権利(知的財産など)をライセンサーから許諾されたライセンシー(使用者)が、さらにその権利を第三者へ許諾すること、またはそのための契約を指します。ライセンサー(権利者)がライセンシーに付与したライセンスを、ライセンシーがさらに他へ許諾する「再許諾」とも呼ばれ、権利が複数者間で流通する際に用いられる契約形態です。

保護技術】

 ソフトウェアやコンテンツ(映像・音楽作成など)を保護するための技術には次のようなものがあります。

・コピーガード
 DVDやBlu-rayなどのコンテンツが不正に複製(コピー)・配布されるのを防ぐための技術です。

・DRM
 DRM(デジタル著作権管理)とは、音楽、映画、電子書籍などのデジタルコンテンツの著作権を保護し、不正な複製、共有、利用を防ぐための技術や仕組みの総称です。暗号化やアクセス制御、コピー防止などの技術を用い、正規のユーザー以外によるコンテンツの無制限な利用を制限します。これにより、コンテンツ提供者が正当な利益を得られる環境を整え、著作権者を保護することを目的としています。

・アクティベーション
 アクティベーションとは、主にITの分野で、ソフトウェアやシステムなどの機能を利用可能な状態にするための処理や手続きを指します。具体的には、正規のライセンスを保持していることを確認する「ライセンス認証」や、機器の初期設定を完了して「利用可能な状態にする」作業を意味します。

・CPRM
 CPRM(Content Protection for Recordable Media)とは、地上デジタル放送やBSデジタル放送で「1回のみ録画可能」とされているコンテンツを、DVDなどの記録メディアに録画・再生する際の著作権保護技術です。

ソフトウェア構成管理

 SCM (ソフトウェア構成管理) とは、ソフトウェア開発におけるソースコードや設計書などの成果物、およびその変更を体系的に管理する手法とプロセスのことです。具体的には、成果物の特定、変更履歴の管理(バージョン管理)、変更の制御、構成の監査と検証、およびビルドとリリース管理などの活動を含みます。これにより、複数の開発者が関わるプロジェクトでの一貫性を保ち、製品の特定のバージョンをいつでも再現可能にし、品質の向上とリスクの低減を実現します。