11-11 保守

保守体制

 保守体制とは、ソフトウェアの保守を円滑に行うための組織のことです。一般的には次の点に留意して決定します。

・保守専任体制を作る
 ユーザからの不定期な要求に対応するためにも、要員が保守に専念できる体制(保守チーム)が望ましいです。
・保守担当者の開発作業への参加
 開発チームから保守チームへの引継ぎを円滑に行うためにも、保守担当者があらかじめシステム開発に参加しておくことが望ましいです。
・ユーザとの窓口の一本化
 ユーザとの対応を行う責任者を選定し、窓口を一本化します。保守要員が個別にシステム変更すると、システムの整合性がとれなくなる恐れがあるからです。
・各管理者の選定
 データ、ライブラリ、ドキュメントなどの管理者うぃ定めておくことが望ましいです。ドキュメント類は軽視されがちですが、システムのバージョンアップなどの重要な足跡となるため、しっかり管理すべきです。

ソフトウェアの保守作業

 保守作業は、その作業内容から、修正作業変更作業改良作業に分けられます。

(1)ソフトウェア修正

 保守工程ではシステムはすでに事業に投入されています。ここで顕在化したバグは、業務に支障がないようにすみやかに除去します。

  • システム全体の機能を維持し、障害や問題を予防・解決するための活動全般を指します。
  • JIS規格では「是正保守」「予防保守」「適応保守」「完全化保守」の4種類に分類されます。

(2)ソフトウェア変更

 変更作業は外的な要因による変更作業で、費用対効果を考えて実行します。

  • 既存のシステムやソフトウェアの機能、性能、または環境の要件に合わせて、仕様や構成を変更する活動を指します。
  • 「変更依頼」と呼ばれることもあります。

(3)ソフトウェア改良

 改良作業とは、ユーザからの変更、機能追加要求などに対応する作業のことです。修正作業に比べると緊急性は高くありませんが、最も工数の必要な作業です。通常保守要員は、多くの時間をこの作業に費やすことになります。

  • システムがより使いやすくなったり、性能が向上したりするように、機能を追加したり改修を行ったりすることです。
  • 「完全化保守(Perfective Maintenance)」とも呼ばれ、ユーザーの要求を満たすための機能追加やパフォーマンス向上などが含まれます。