9-5 LANアクセス制御

アクセス制御

 複数のコンピュータが、ネットワークに接続されていてデータを転送する際に、データが正しく送れるようにデータ伝送路を正しく利用する手順が必要になります。この制御方式を媒体(メディア)アクセス制御といいます。
 データの送受信方法や、誤り検出方法を規定したもので、OSI参照モデルのデータリンク層に対応し、MACアドレスという、ネットワーク接続機器に一意に割り振られたアドレスで通信相手を認識します。

媒体(メディア)アクセス制御には、イーサネット(有線LAN)で用いられる「CSMA/CD」と無線LANで用いられる「CSMA/CA」があります。

 

CSMA/CD

(Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection)搬送波感知多重アクセス/衝突検出

シンプルで高速な制御手順で、バス型・スター型の有線LANで用いられる方式で、イーサネット(Ethernet)が採用しているメディアアクセス制御方式です。

CSMAは一つの伝送路で複数のノード(端末)のアクセスを可能とするために、送信したいノードは他のノードが伝送路を使っていないかどうか、伝送路を確認します。もし使っていれば伝送路にデータが流れているのでしばらく待ってから、もう一度確認して使っていなければデータを送信します。
もしこの時、他のノードも同時に送信すると衝突(コリジョン)してしまって、データが重なって壊れてしまい、使えなくなってしまいます。この衝突(コリジョン)を検出することで、送りたいデータを再送信します。

CSMA/CA

(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)搬送波感知多重アクセス/衝突回避

『衝突』の検知を行うことが物理的に不可能な、無線接続において使用される方式で、CSMAの部分は、CSMA/CDと同じ。

CA(=Collision Avoidance):衝突回避。搬送波感知を行った段階で、通信中のホストを検出した場合、待ち時間の間隔を徐々に短くしながら、待って再送信を行う方式。

利用率と応答時間の変化

CSMA/CDは、伝送路の利用率が高くなれば(伝送路が混雑すれば)、コリジョンの発生が多くなり再送したデータもコリジョンをおこすという悪循環に陥ります。このため利用率がある程度以上になると、応答時間が急激に悪化するという現象が見られます。

参考

トークンパッシング

トークンリング方式やFDDI(Fiber-Distributed Data Interface)が利用しているメディアアクセス制御方式です。
 トークンと呼ばれる送信権がネットワークを流れていて、このトークンを取り込んだノードがデータを送信できる方式です。データを送信すると、送信したノードは、ネットワークにトークンを流します。これで、誤って同時にデータを送信してしまう衝突を防ぐことが出来ます。